IJU COLUMN

HELLO, LOCAL LIFE!

2021.01.16

僕たちがイジューハウスを立ち上げた理由 〜その2:地方移住の側面から豊かさを考える〜

 

このコラムでは、私たちがイジューハウスを立ち上げた理由の3つの側面から「地方移住の側面における豊かさ」を取り上げて、書いていきたいと思います。
ぜひ、地方での住まいをお考えの方は住まうことの豊かさとイジューハウスの意味について考えてもらえたらと思います。

 

「イジューカフェを通じて考えたこと・わかってきたこと」

私たちは8月より月に1回「地方移住と住まい」をキーワードに、各地に地方移住された方々をゲストに呼んでホンネ・ホンキを聞くトークイベント〈イジューカフェ〉を実施しました。(今後、再開予定です。)

第1回目は兵庫県宍粟市(ゲスト:加藤智子さん / 健康運動指導士)、第2回目は岡山県笠岡市(ゲスト:寺田伊織さん / みんなの自習室はくし   代表)、第3回目は兵庫県神崎郡神河町(ゲスト:野村俊介さん / 株式会社 仙霊   代表)に焦点を当てて、お話を伺いました。

その中で、”地方移住の今”について独自に調査した結果の考察を一部公開したいと思います。

・結局はどの地方も良い! ただ、移り住む場所(土地・中古住宅)が見つけづらい。

お話を聞いていて感じたことは、移住したいと思ったときに沢山の情報を収集して候補地を絞るわけですが、実はどこも良かったりします。特に今は、行政主導の移住機関やイベントにしても、移住系メディアにしてもその地の良いところを前面に出すという”アピール”がメインであるため、「どこも良いな…」となってしまいます。

そう、島国で起伏の豊かな日本では気候・位置関係から、コミュニティや人柄、交通、産業、資源の特徴がバラエティに富むため、たぶんどこも行ってみたいし、住んでみたいのだと思います。

そういった情報収集や検討のもと、多くの方々は候補地として3箇所くらいに絞れるものの、実際に住まいたい場所が見つけることが難しいようです。空き家バンクに公開されている物件数は少数ですし、その地の不動産屋さんに遠方からアプローチしてもなかなかやりとりが難しいことが理由にあります。

 

・都市と地方では不動産への価値観が全く違う。

地方の不動産は都市部のそれと比べると安い! ということは想像しやすいのですが、個人的に感じたことはそもそも価値観が違うという点です。

都市部において、不動産は探すとたくさん情報はあるのですが、ひとつひとつ明快に敷地境界杭が打たれていて、細切れの土地は窮屈ながら、その価格も高いことが一般的です。そのため、立地は良いのだけれど欲しい面積の家が建てられないケースも良くあります。

一方、地方の土地は安いだけでなく、田舎にいくと土地の境界すら存在しているようで存在していません。塀もなければ杭が打たれていないケースも多々あります。そのような環境の中では畑をするにしても相談によっては「だいたいここからあそこまでタダで使って良いよ。」という会話もありえます。家ひとつあたりの敷地のサイズも比較的大きいため、敷地内をどのように使うか人生設計に合わせてカスタマイズも出来るという土地や家を考え、使う考えが生まれます。このような点を踏まえると、総合的に建築でいう土間空間のようなラフな扱い方が土地に対してもできるという自由さがあります。

 

・地方それぞれに性格があり、抱える問題も違う。

これも着目べき点なのですが、日本の豊かな起伏・気候・立地がコミュニティ、地元の人柄、交通、産業、資源へと影響を与えていて、特徴を生んでいるということです。例えば、兵庫県の神崎郡神河町や神戸市北区大沢町は大阪市や神戸市内へのアクセスが良いことから、地元から働きに出ている人が多く居住するため、コミュニティ間での干渉や強制感はあまりありません。しかし、少しでも都心へのアクセスが悪いと、その地域周辺で就業する居住者が増えるため、コミュニティ内の関係性が強く、透明性も高くなってしまうのです。

こういった特徴が色々な地域で独自にあるわけですが、同様に独自の問題を抱えていますし、その解決方法も独自なのだと思います。しかし、その地域だけで解決するという従来のあり方ではなく、都市部と地方の長所・長所を上手く交換することで解消できることもあるのではないかと感じており、地域創生ならぬ、地域共生のあり方を探っていきたいと考えています。

 

これまでの内容から、イジューハウスでは求められれば地方における土地も探し、その土地でどのような生活が可能か、どのような未来へのカスタマイズができるのか、お客様と共に考えられる環境を提供します。そして、この活動を通じて、建築設計集団として地方独自の問題へもアンテナを張り、共生のあり方を考えていきたいと思います。

 

text &photograph : 吉松宏樹